あとがき
前半部分をUPしてから、ほぼ3か月……大変おまたせいたしました。『美醜』書き上げる事が出来ました。
山ノ内が温めていたヒュンケルとエイミの関係っていうのを、何とか形には出来たのではないかと思っております。
ヒュンケルと「女性」を考えた時、普通はマァムの存在が絶対だとは思うんです。
が、今回の話には彼女を絡ませることはありませんでした。
山ノ内の頭では、ヒュンケルがマァムによって救われるというのがイメージしにくいのです。勿論、人の優しさを、慈愛の使徒である彼女が光としてヒュンケルに与えたのは紛れもない事実なのですが、改心したからって、彼が光に包まれて幸せいっぱいに過ごすなんてのは無理でしょうから。むしろ、自分が間違っていたことを自覚してるなら、許されて優しくされる方が辛いだろうなと。
なので山ノ内の世界の中で、ヒュンケルの中にマァムを守りたいという心はあっても、マァムを求める心は無いのです。優しさに包まれたいなどと願う事すら、彼は自分に許さない。
逆に(と言うのも変ですが)エイミは原作で「彼と一緒に地獄に堕ちます」とまで言い切りました。
激しい情熱の女という感じの彼女ですが、余りにもその描写が急に出てきたので読者はちょっと置いてけぼりくらいました(^_^;) まぁそれはともかく、描写がなくとも、物語は各キャラクターにあるはずなわけです。ならば、あの台詞に至るまでの彼女の心の変遷を書いてみようかと思い、今回のような話になりました。
マァムによって光を与えられたヒュンケルにとって、救われてからこそが罪の意識に苛まれる日々なのでしょうから。レオナは措くとして、アバンの使徒という同門の妹弟弟子たちに受け容れられても許されても、また、為政者としての視点を持つレオナに許されても、それは彼にとって余り解決にはならないと思うのです。『パプニカの民』が許すことが重要で、その点で、民としての感情と政治に関わる者としての公正さを持つ立場のエイミはぴったりでした。
他にも少し言及したこととして、人間がわからの魔物への蔑視とか、ごく当たり前に「魔=悪」というのが罷り通っていて、それを当の魔物でさえも受け容れているとか……そういうのも書きたいテーマでした。この辺りは一度日記でも書きましたので略。
長々とした暗い話ですが、読んでいただければありがたいです。
ご意見ご感想、お待ちしております<(_ _)>
('12.08.30UP)
