本編SSと拍手小話の裏話6
- 不可能事項
- 2008年の7月13日にUP。数時間で書けた記憶があります。
これは、自分の中でも特に気に入っている話の中に入りますし、実際、良い話なのだと思います。初期に拍手でコメントをもらった時は、皆様、この話が好きだと言って下さいました。
うちはポプマサイトですが、その割に、毎回二人がいちゃついているというわけではありません。むしろ、ポップとダイの友情話も同じくらいの数があります。
そして、ダイが出てくる話には、あまりマァムが出てきません。逆もまた真です。山ノ内が多人数を出すことが苦手と言うのも勿論あるのですが、実は『ポップとの絡みをダイとマァムのどちらに重く置くべきか迷うから』というのも大きいのです。まさに、「恋愛か、友情か」。これ、本当に目下一番の悩みだったりします(-_-;)
まぁポップに言わせれば、「んなのどっちも大切に決まってんだろ!」ってところでしょうし、三人一緒にいても旅の最初の時のように仲良しなので、普通にほのぼのした話を書く分には何も問題がないのです。…が、
本当にどちらが大切か選ばねばならない事態が持ち上がれば、ポップはどうするんでしょうね?
疑問を呈するだけでも何だか非常に重苦しい感じになっちゃいますが、まぁそんな事を時々考えます。と言うか、これはポップだけでなく他のどの登場人物もそうでしょうけども。ダイだってレオナとポップを天秤に掛けられるわけはないでしょうし。しかし、現実世界では別に「恋愛か、友情か」じゃなくとも、いとも容易くそういう「究極の二択」は起こりうるもので……。
山ノ内の中では『玻璃のような』のあとがきで一応の答えは出しております。ポップにとってはダイが、さながら太陽に向かう植物のように生きるための一番の糧であり、ダイにとってはポップとの三ヶ月間の冒険が、地上・人間を好きだと言わしめる一番の縁であると思っています。が、それでもいざ三人(もしくはレオナを入れた四人)を書く時は、色々と上記のような事を考えてしまうのです。ここを読んでおられる方は、どんな風に考えておられるのか、訊いてみたい気もします。
さて前振りが物凄く長くなりましたが、(ホントにな)
『不可能事項』は、上記のような事をうにゃうにゃと考えつつも、ダイとポップの二人の絆って最高だという感じで書き上げました。
あとがきにも書いてますが、山ノ内にはダイが人間の醜さに絶望して人間を滅ぼそうとするような、そんな未来は想像が出来ないです。あ、勿論、彼が無事に地上に帰還して、ポップ達と仲良くやっていたらという「わきみち」世界前提でですが。
ダイは、どんなに人間の醜さを見ても、仲間の皆の素晴らしさだって知ってますから、「醜いだけが人間の本性じゃない」と思うでしょう。その最たる絆がポップではないかと思います。レオナでもいいのですが、彼女は一国の国主としての義務・しがらみとの二人三脚ですから、何もかもを投げ捨ててダイのためだけに行動するという事はまず出来ませんし。個人として最後までダイの心に寄り添ってくれるのは、ポップではないでしょうか。
辛く苦しい旅を最初から最後までずっと一緒にいて、臆病という弱さも見せつつ、勇気を振り絞って立ち向かう素晴らしさを何度も何度も見せてくれた親友がいてくれるなら、ダイはきっと絶望はしない。人間のどんな酷い所業を見ても、それが自分に向けられても、「それでもポップは…ポップだけは……」となるのではと。
そして、ポップもそういう己であることを決めています。彼にとって、ダイを裏切るような真似をする自分になど、意味がないと言い切れるほどに。もしも、そんな裏切りを自分がなすのならば、人間を信じようと最後の最後まで耐えたダイが真実絶望する瞬間でしょう。だから、ダイが人間を滅ぼそうとするならば最初にその剣を受けるのはポップなのです。
―――そういった諸々を踏まえて、『不可能事項』というタイトルになりました。
ちなみに最後までタイトル候補に残ってたのは『 He is the last man ...』です。最初はホントこれにしようかと思ってたんですが………文法が怪しいからやめました(^_^;)