本編SSと拍手小話の裏話5
- 玻璃のような
- 2008年の6月23日にUP…多分。
あとがきにも書いておりますが、ポップの抱える闇を書いておこうと思った、とっかかりの話です。
あんなに若くして世界を救った英雄になってしまったら、その名声を利用しようと思って、色んなところから引っ張りダコでしょうし。で、そういう人にやっかむ存在がいるのも世の常でしょうし。
18歳という年齢ならチヤホヤされれば有頂天になっても許されるとも思うのですが、ポップは大戦時からダイを通してそういう人間世界のイヤな部分を漠然と認識していたと思うので、祭り上げられてしまう分、色んな想いをしてきたと思います。
若い分、理想もある。そして力もある。
そんな彼が複雑な政治の世界でうまく立ち回るのは、物凄く大変でしょう。しかも頭が切れますからね。身分や地位だけで威張り腐っている馬鹿や阿呆(どんな組織にも絶対いるし)に頭下げるのって、割り切っててもイラっとはすると思います。
ひょっとしたら、そもそもが一般市民の出なので、頭下げること自体は慣れているかもしれません。ドラクエの世界はどのシリーズも、王を筆頭とした貴族制度が堅固なようですので、領主とかもいるでしょうしね。ポップの身分だと、頭下げる機会も多かったかも。
ただ、情の深い彼のこと。自分の事は我慢できても、仲間が同じような目にあってたら許せないという気持ちになることもあるだろうなと。
ましてや、それが親友に関してであれば。
ダイの立場は、『わきみち』の世界では、純粋な人間じゃないことを知られつつも受け入れられてはおります。が、反発も当然ながらあります。
レオナがダイに惚れているのは皆知ってますが、それは、パプニカ女王の伴侶の座を狙ってる輩には忌々しい事でしょう。世界を救った勇者ダイ、ましてやダイの両親の悲劇も広く知られるようになっているので、堂々と口出しするというのは難しい状況だから仕方なく大人しくしているという感じ。
そういう状況をポップは知っており、だからマァムと一緒に各国を回って民衆の支持を確固たるものにしようと活動してるんですが、万が一ダイへの迫害が起こった場合の事も考えざるを得ないわけで。
その怒りや不満や不安を引っ張り出すのに、いい方法は無いかな〜? と考えて、前作のアイテムが丁度いいことに思い至りました。
バーンが人間に対する考えを良い方に改めていっているならば、ポップは政治という得体の知れないものに触れて、悪い部分も否定出来ないという風に考えを改めていってるので、対になっています。
そしてもう一つの対は、ポップとマァム。
ポップが人の嫌な部分に囚われる時、マァムが人の善い部分をさり気無く指摘する構図にしています。
この話からあとは、結構ポップが政治に関わってそうな描写が増えていってます。別に意図した流れではないのですが、とっかかりの話としては、書きたい要素を自然に書けたかなと自分では思ってて、不満の少ない話になりました。
……あ、めっちゃ余談ですが、実はこの話から「玻璃」→「針」のように同音異義語に掛けるパターンが始まってます。気付いて下さってる方、いらっしゃいますかね?