あとがき


……今回のは自分で書いておきながら、薄暗いのか、ほの明るいのか、どう言うべきか悩むようなポプマ話になってしまいました。
しかし、書きたかったテーマではあるので後悔はしてません。

真面目で出来のいい人間って、気の毒な事も多いんじゃないかと思います。そういう観点からマァムを書いてみました。彼女、絶対あんな小さな村では小さい頃から『良い子』で通してきただろうなと思うので。
昔、原作読んでて思ったのは、なんで女の子が村の守りなんだよって事。もちろん、戦争中だから成人男性は都の護りに行ってるという理由がありましたが……。でもそれならそれで、他の女性も村の出入口に交代制で見張りのように立ってるべきじゃないかな、とか。だって、村って共同体ですから。勝手な事が出来ないのと同様に、皆が等しく責任を持つものだと思います。なのに、人生を知り尽くしたような年齢の人に任せるのならともかく、マァムはまだ当時16歳。彼女が他の村人より強いのはわかってますが、それでも一人で村を護るなんて無茶苦茶ではないでしょうか。これで仮に魔物が村に入り込んだ場合、マァムは物凄く罪悪感を感じるんじゃないかな。
頼りにされる事・期待される事って、とても嬉しい事でもありますが、反面、その期待に応えられなかった時の周りの反応を考えると、怖くなる事があります。その期待が大きければ大きいほど、周りは勝手に失望しますから。そこには、期待に応えようと頑張った本人の行動や過程への斟酌はないのです。それまで積み上げてきた物が、立派であればあるほど、どんな小さな瑕も許さないかのように。
ジ●イアンは得ですね。普段あれだけ乱暴者でイメージが悪いのに、たまの映画版で、優しいシーンや頼りになるシーンをチラと入れるだけで、観客のイメージは抜群に良くなります。
ですが逆に、いつも優しいしず●ちゃんが、1回でも友達をいじめるようなシーンがあったらどうでしょう? 多分観客は、彼女のイメージを地の底まで落とすと思います。理不尽な話ではありますが、人間の心理ってそんなもんです。

『優しくて強い、とてもしっかり者の女の子』だって、努力して強くなり、自分の心を押し殺して優しく振舞う事だってあるのです。けれど評価や肩書きが先行すれば、『アバンの使徒だから強い』『慈愛の使徒だから優しい』に簡単に摩り替わる。何かしてもらう事に勿論感謝の心はあるけれど、頼み事を断られるなんて元から思っていない人々。
村の人だけが悪いとは言いません。完璧すぎる存在がそばにいれば、依存心が育たないはずはないですから。でも、そういう人たちに苛立ちを僅かでも覚えないなんて事は、マァムが人間である限り不可能じゃないかなと思ったんですよ。そして、優しくて真面目な彼女は、そういう苛立ちを持つ事すら自分に許さずに、頑張ろうとするのではないかと。

なので、ポップに抱きしめてもらいました。ビバポプマ。

甘えられない人生なんて、イコール『孤独』ですから。そしてポップは甘える事が出来る嬉しさを知ってます。
それに、こういうのって、マァムの『普通の女の子』の側面を自然に引き出せる彼(同年代では唯一)にしか出来ない役目なんじゃないかな〜……とまぁ、ポプマ大好きな脳味噌で考えた結果のお話でした。ぬぅ。結局萌えを語っただけか。
ちょっとでも楽しんで頂けましたら、嬉しいです。では、また次回作でm(_ _)m

('10.01.15UP)



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