ダイの大冒険 おまけSSS
会話文シリーズ『勇者様と聖騎士殿』
「ダイ、少し訊きたいことがあるのだが、いいか?」
「ん? 何? ヒュンケルがオレに質問なんて珍しいね」
「その…ポップから聞いたのだが…」
「ユケムリビジンとは何だ?」
「オレもあんまりよく知らないんだ」
「そうなのか。ポップはお前がよく知ってると言っていたんだが…」
「オレもポップに聞いたんだよ。この前ジパングに行った時に」
「ほう」
「えっと…湯煙美人は、別名、温泉美人とも言うんだって」
「ふむ」
「温泉美人って言うのは、温泉にいる美人のことだよ。……温泉に入っている間だけ美人になる女性もいるとかなんとか」
「? つまり温泉から出ると美人ではなくなるのか?」
「そういう人もいるって事かなぁ…? よくわからないけど」
「けど?」
「ポップは、男の浪漫だって言ってた」
『湯煙の中にかすかに浮かぶシルエット! タオルを巻きつけただけの女の子!! ほてった身体に滲んだ汗!! 顔なんて問題じゃねえんだ! これぞ、男の浪漫だよなぁ…!!』
『そ…そうなの? オレは、はっきり会って話したほうが楽しいと思うんだけど…』
『ノン! ノン! いいか、ダイ? 魔法は集中力。恋は想像力だぜ?!』
「…………なるほど」
「わかる?」
「とりあえず、マァムが聞いていたらあいつは殴られるんだろうな、という事はわかった」
「うん。殴られてた。『あんたのは妄想力でしょ?!!』って」
「…相変わらずだな」
「うん。でも、楽しいよね」
「そうだな。良い事だ」
(終)
('10.09.22 再掲)
